欲張りでもいいじゃない

桜の開花を待つ前に梅が現在満開です。是非立ち止まってご覧あれ。


仙台の梅の花は今が丁度見ごろ。関東地方だとだいたい2月頃の開花なのだけど、東北は、桜の開花のちょっと前くらいに梅が開花の様子。季節を感じることが少ない昨今、ちょっと歩いてみると梅の花が満開で、ちょっとうれしくなります。
最近母の様子がどうにもこうにも思わしくなく、外出がままならないのは数ヶ月前からなのですが、最近では水を飲むことすら困難な状態になりつつあります。出来る限り自宅で過ごしたいという希望が前よりあったので、最終的には在宅看護の選択を。と思っていたのですが、母の口から「入院しようかな」という言葉が。。
癌は治る病気になりつつあると言われていても、癌患者は年々増す一方です。しかも、治すということに関しての研究は全国各地で執り行われていますが、治らない癌を少しでも、進行を遅らす、患者の痛み等の症状を緩和する研究においてはまだまだ国内は少ないようです。もちろん、積極的に患者個々の症状に合わせて緩和ケアをしてくれる施設もあるのでしょうが、到底現在のがん患者数に比べたら微々たるものです。
「欲張りすぎたかな」と母は言います。去年奇跡的に驚くほどの回復を見せ、動けるうちに動こうと、沖縄旅行を皮切りに、いろんなところへ行きました。シルクドソレイユを鑑賞したり、大地真央さんのミュージカルにも足を運ばせました。地元の温泉にも行ったし、秋にはJRで函館旅行にも行きました。去年の初め頃は、もう残り時間が少ないから、動けるうちに行動しよう。という気持ちが強かったのかもしれませんが、だんだん調子良く動けるようになると、それは「このまま回復するんじゃないか?進行は止まってこの状態をキープできるんじゃないか?」という欲が出てきていたそうです。どんな人間でもいずれは「死」を迎えなくてはいけません。だけど、やはりどんなに辛い状態に追い込まれていても「生」を望むことは欲張りなのでしょうか。去年あれだけいろんなところに行ったのだから、もういいじゃない。とは他人がそう思っても、本人は決してそう思わないのです。だって限られた時間は刻一刻と迫っていても、その時は誰も分らないし、次から次へと湧き上がる欲は決して消えないのですから。いろんなことを悔しくも諦めなくてはいけない日々の中、季節のうつろいでいく様は見せてあげたいと願うのですが、それもわずかな望みとなってきたのでしょうか。自問自答する日々がまだ少し続きそうです。